彼はとても強い人です。
涙をみせることはありますが
シクシクと腕に顔を伏せて泣くことはありませ
んでした。
止まらない苦しさとふるえがおそう恐怖の中、
彼はシクシクと泣き、体の割にはきゃしゃな指
先で涙を何度もぬぐっておられました。
その様子が私にこう感じさせました。
「僕はなんでなんやろ！！」と。
彼自身が立ち向かざるをえない強い気持ちと、
あきらめきれない気持ちを、お母さん、ご家族
そして、私達がしっかり受け取る。


私はこの現実をぶつけ倒す為に、
「神様なんてくそくらえ！！！」と
やり場のない気持ちでウギャー！！！と
心の中で雄叫びをあげる。






『ごめんなさい。』

こんなふうに考えること
絶対いけないことわかっています。
でも、
どうしても、一度だけ
わかってほしい気持ちがある。
「お母さんのお腹にもどして
もう一度産んでほしい。」
ごめんね、お母さん。
二度ともぼくなら
あきらめるから、
あきらめられるから。
こんなふうに考えること
おかしいですか。
　　　　　　　　第二集
　　　　　　　「とつきととうか」より

　　　　　　　　　　　　　管理者
　　　　　　　　　　　　　山下　雅子